activities 活動レポート

2018/05/09

チーム「β-UTTA」(澤田英行研究室)がBuild Live Japan 2017においてBuilding Smart 大賞を受賞

チーム「β-UTTA」(澤田英行研究室)がBuild Live Japan 2017においてBuilding Smart 大賞を受賞しました。


【受賞者】
チーム「β-UTTA」
・環境システム学科4年
石橋 忠司 さん、梅田 歩昴 さん、森 天文さん、渡邉 圭悟 さん
・建設工学専攻修士1年
齊藤 有生 さん、宇田川 剛 さん、大塚 健太郎 さん、鈴木 聖弥 さん
・建設工学専攻修士2年
飯塚 圭佑 さん、森澤 昌典 さん
【指導教員】
澤田 英行 教授(環境システム学科)
【発表題目】
「木更津 Life Remix」

現代社会におけるデジタル環境は、急速な変貌を遂げていまる。ビックデータの存在、人間の知的作業を模倣し置換するAIは、現実の社会に実装されはじめた。このような現代社会における建築設計のあり方・方法を探るため、日頃の研究成果を実践する場として、96時間という限られた時間でBIM/ICTを用いて行う建築設計競技(コンペ)に参加した。同コンペには企業・大学から多くのチームがエントリーし、本学からは、「β-UTTA」、「Nonet」の2チーム・総勢19名が参加した。課題は千葉県木更津市という郊外都市の活性化を目的とした計画/設計についてである。

今回の取り組みは、ビックデータの活用を含む「BIM: Building Information Modeling*1とBI-M: Business intelligence – Modeling」によるデザインプロセスの明示、データベースの構築に主眼を置いた建築設計の可能性を検証したものである。

蓄積した膨大なデータを可視化し、新たな発見や問題解決すべき対象を発見するために、BIツール*3を対象敷地の情報をデータベース化・可視化するツールとして援用した。この方法を、私たちは「BI-M: Business Intelligence- Modeling 」とし、データベースの可視化を目的とした「BI-M」により、通常企業等が行う事業スキームの調査・分析・企画立案の段階をフロントローディングした計画・設計が可能になると考え、制限時間の中で検証した。なおプロセスを重視し、歩んでゆく過程については、これまでの澤田研究室で取り組んできた手法を参考とした。
そしてこれらのことから、以下の2点を目標として掲げた。
1.BIMとBI-Mにより調査・分析・企画及び計画・設計を横断的に捉えたデザインプロセス
2.設計課題に対して、木更津の賑わいのないエリアに新たなかたちの〈消費〉や〈体験〉の場を創出し、まちづかいの契機と活気を生む

実際に、BIMとBI-Mによって、調査・分析・企画と計画、さらに計画と設計(具体的な形)を複数回、行き来した。この方法の成果は、一つの大きなマスタープランに基づいたデザインではなく、その土地にある固有の情報からどのような企画・計画・設計が可能かをメンバー全員が相互に議論しながら進められた点にある。

*1 BIM(Building Information Modeling)…建築物を、3次元モデルとしてコンピュータ上に構築し、建築設計から施工までのプロセスにおいて活用する技術・手法
*2 ICT(Information and Communications Technology)…情報通信技術
*3 BIツール: Business Intelligence tools、ビーアイ・ツール。「企業の業務システムの一種で、業務システムなどに蓄積された膨大なデータを蓄積・分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめるもの」(IT用語辞典e-Words)

調査・分析・企画そして計画・設計を横断的に検証したが、設計に入ってから計画の欠損に気づくことがあり、Phaseが進捗するほどに作業量が増大した。これこそが計画・設計を横断的に行ったことの証左ではあるものの、共有すべき事項に対するメンバー間の意識のずれも顕在化した。こうした意識のずれを最小化する意思決定方法については今後の課題である。
一方で、今回の取り組みは、まちに関わる多様な人々の参画を可能にするデザイン手法を示唆するものであったようにも思う。私たちは、プロフェッションと異分野との連携、さらにはエンドユーザーをも巻き込み、つなぐような、新たなパートナーシップのためのプラットフォームの整備が必要と考えている。そしてそれは「BI-M」のようなBIMの概念・方法を拡張することで可能になるのではないか。先に述べた今日的状況の中で、まち(地域)は、まちづくりや公共的価値の創発を伴う新たな〈まちづかい〉が求められてる。今回の取り組みを踏まえBIM・BI-Mの可能性について今後の研究で更に深化させていきたい。