基調講演・パネルディスカッション概要

基調講演「芝浦工業大学におけるSDGsの取り組み」講演者紹介

磐田朋子(いわた ともこ)

東京都出身。芝浦工業大学副学長、システム理工学部教授。2002年東京大学工学部地球システム工学科卒業。2007年同大学新領域創成科学研究科環境システム学科博士課程修了、博士(環境学)。同研究科助教、(国)建築研究所、(国)科学技術振興機構低炭素社会戦略センターを経て、2017年に芝浦工業大学に着任、2023年より現職。地域における再生可能エネルギーの活用や省エネルギー対策を中心とする脱炭素社会実現に向けたエネルギーシステムの総合評価を専門とする。

 

パネルディスカッション「大学間、校種間、地域間でつながるESD」概要

背景と目的

現行学習指導要領では「持続可能な社会の創り手」を育むことを基本理念として掲げており、学校が地域づくりの拠点としての役割を果たすことが期待されている。一方第2期地方創生総合戦略においては、「新たな関係人口の創出・拡大」を謳っており、定住人口を増やす、移住者を増やす政策一辺倒ではない方向性を示している。さらにこれの概念を発展させ、地域内で社会活動を実践する人と地域の外から当該地域の持続可能な地域づくりに貢献する者の総数、すなわち「活動人口」を政策目標とすることを提唱している。例えば地域外から大学生30名がはいって海岸の清掃活動をしたとする。翌年には地元の小学生30名と一緒にこの活動をすれば、活動人口は60人になる。活動人口によって、内と外との相互作用によって生まれるシナジー効果が表現されることになる。すなわち、異なる世代、異なる地域、異なる組織で地域や国際社会の課題解決に貢献する活動=SDG達成活動を実践することが重要である。

そこでこのパネルディスカッションでは、大学がこれまで取り組んできた多様なESDのうち、大学間、校種間、地域間で連携・交流しながら実践した事例を取り上げ、持続可能な地域づくりやSDGs達成に大学が果たすべき役割について検討することを目的とする。

 

内容

パネリストの組織で取り組んでいる活動紹介

中高大連携や地域間連携で実践した取り組みとその成果・課題

持続可能な地域づくりにおける大学の役割など

 

コーディネーター

中口 毅博(なかぐち たかひろ)

芝浦工業大学環境システム学科教授、持続可能な地域創造ネットワーク共同代表

静岡県三島市生まれ。1983年筑波大学第2学群比較文化学類卒業。2001年に芝浦工業大学に着任、2012年より6年間愛媛県内子町に住民票を移して首都圏との二地域居住をしていた。自治体の環境政策や環境教育、SDGs達成のための地域創生などの分野でアクションリサーチ(実践活動をしながら研究)を行っており、子ども達には「ながぐつ先生」として親しまれている。近年は学校間・校種間・地域間の交流・連携型の学びの場や機会の提供や、高校などに出向き探究学習の課題研究を支援することに力を入れている。

 

 

パネリスト(五十音順)

大沼 文香(おおぬま あやか)

子ども食堂Omusubi共同代表、自立援助ホーム夢舞台 自立支援スタッフ

山形県山形市生まれ。東北芸術工科大学芸術学部歴史遺産学科卒業。卒業後、国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所に入所し、児童福祉に関する資格を取得。2016年〜2018年に青年海外協力隊として中米ニカラグアに派遣され、児童福祉施設で活動する。帰国後は非行等、問題行動がある児童が入所する児童自立支援施設で勤務。2021年より子ども食堂を立ち上げ、運営している。施設を退所した子どもたちが地域で支えられて生きていけるように、また、地域の子どもたちや子育て世代が様々な関わりの中で生活できるように地域をエンパワメントしていくことが現在の目標の一つ。

 

幸地 佑朔(こうち ゆうさく)

幸地佑朔(こうち・ゆうさく)琉球大学地域共創研究科地域共創専攻 大学院生

1997年沖縄県那覇市生まれ。2016年から琉球大学エコロジカル・キャンパス学生委員会(エコキャン)のメンバーとして、活動を続けており、現在もエコキャンではアドバイザー的な存在で学内外でのイベントや事業で活躍している。院生として研究をつづけながら、沖縄県内の環境教育事業を受託する(一財)沖縄県公衆衛生協会にて環境教育の研究員としても仕事をしており、多様な年齢層を対象とした地球温暖化対策の啓発に力を入れている。

 

武石 涼(たけいし りょう)

さいたま市立大宮国際中等教育学校 主幹教諭 IB研究部長 数学科

新潟県新発田市生まれ。2005年東京学芸大学卒業。卒業後に縁があり、さいたま市で教職に就く。2015年より3年間ミャンマーにあるヤンゴン日本人学校に赴任。帰国後は埼玉県内初にして唯一の中等教育学校で、関東圏で初のMYP・DPの認定公立学校である現任校の準備から参加。開設5年目を迎え、本校のグラデュエーション•ポリシーである「・未来の学力が備わった人」「国際的な視野を持った人」「より良い世界を築くことに貢献する人」の資質を伸ばす為の探究学習に力を入れ、芝浦工業大学をはじめ、教育機関や企業との連携を進めている。

 

室 貴由輝(むろ たかゆき) リモート出演

岡山県教育庁高校教育課高校魅力化推進室室長

岡山県倉敷市生まれ。1989年広島大学教育学部卒業。

2000年に矢掛商業高校において、ホタルや淡水魚の保護・増殖や環境保全活動を通じての環境教育を始める。2004年、高校再編整備による矢掛高校との統合時に、学校設定教科「環境」を開設。カリキュラム、教材作成を行う。矢掛高校で「環境教育を入口にしたESD」を推進し、岡山県初のユネスコスクールに認定される。2010年に学校と地域をつなぐ新しい地域学として、学校設定教科「やかげ学」を開設。2013年に矢掛中学校に異動。小中高連携、地域連携を推進。岡山後楽館高校勤務を経て、岡山県教育庁に入庁。2021年より現職。希少野生動植物種保存推進員、自然観察指導員。やかげ小中高こども連合 共同代表。